フォームの完了率が2倍以上に!マンスリーサポーター200人/月へ
あるNPO法人さんで、オンラインからの寄付獲得に取り組み始めたばかりの頃のこと。
Facebookやリスティングなどに広告を出して、出だしは順調にコンバージョン(CV)を獲れていたものの、獲得件数が大きく落ちてしまったことがありました。
調べてみたところ、PCからは効率良くCVを獲得していたものの、スマホでははCPAが高騰。
スマホからのアクセスの比率が増えていくにともなって、コンバージョン率が落ちてしまっていたのです。
さらに分解してアクセスを解析すると、申込フォームの完了率が低くなっていました。
つまり、せっかくフォームまで訪ねても、最後の最後で登録せずに離脱してしまっていたのです。
そこで、スマホでの申込フォームの表示を改善することに。
スマホでも見やすいレイアウトや、入力しやすい設定に切り替えたところ、申込フォームの完了率が当初10%台だったのが、20〜30%程度へと改善。
コンバージョン率も、それにともなって回復しました。
その結果、スマホで広告の投入を増やしても費用対効果(CPA)が合うようになり、積極的にプロモーションを展開。オンラインでのマンスリーサポーターの獲得数を月200件前後まで、増やすことができたのです。
“地味”なフォームの改善は、忘れられがちに
この事例からも分かるように、WEB サイトから寄付を獲得できるか?は、申込フォームの良し悪しに大きく依存します。「WEBでキャンペーンを展開してみたが、ダメだった」「広告を出してみたものの、CPAが高くなってしまい断念した」といったご相談を、私はよくいただきます。そこでフォームをチェックすると、スマホでの表示に最適化していなかったり、10ページ近くもたどらないと登録完了まで辿り着けなかったりと、フォームが“イケてない”ケースが高い割合で見当たります。LPや広告など、目につきやすい箇所は工夫しても、フォームは忘れられがちになってしまうのです。
それにしても、寄付をしようとフォームにまでたどり着いたユーザーが、何もアクションを起こさずに立ち去ってしまう。
そう聞くと、不思議に思われる方もいらっしゃるかもしれません。
なぜユーザーは、最後の最後、フォームで離脱してしまうのでしょうか?
なぜフォームまで到達したのに、何もせずに離脱してしまうのか?
一般の方にヒアリングをするとよく出てくるのが、フォームを訪れたものの「スマホでは見づらかった」「入力が面倒」と思って後回しにしてしまったケースです。
「あとでパソコンで申し込みしよう」そう決めてブラウザを閉じたは良いものの、日々の忙しさに紛れて忘れてしまう。
時間が経つと、WEBサイトを見て高まった“熱”も冷めてしまい、結局は申し込まなくなってしまう。
寄付に限らず、あなたがWEBで買い物やオンライン登録をしたときのことを、思い出してください。
- 入力しようと頑張ったものの、住所が郵便番号で自動的に変換されず、イライラしてめんどくさく途中でやめてしまった
- せっかく完了したのに、エラー表示が出てしまい、結局あきらめてしまった
- たまたまクレジットカードが手元にないため、申し込みできなかった
- 決済情報を入力するときに、ふと我に返り、「はたして本当に信頼できる会社/団体なのか?」とTopページへ戻って調べ始めてしまった
- 確認画面から修正しようと戻ったら、入力した情報が消えてしまっていて、やる気を失った
このようなご経験をされたことは、ありませんか?
フォームからの離脱が多いのは、実はビジネスの世界でも同じ。
たとえばECサイトでは、一般的に約70%はカートやフォームから離脱すると言われています。
もし離脱を放置してしまっていたら、機会損失になるだけではありません。
広告を使ってプロモーションしている場合、費用を垂れ流しにしているのと同じことなのです。
一番“手っ取り早い”のは、入力項目を減らすこと
では、どうすればフォームでの登録完了率を高めることができるのでしょうか?
冒頭で述べたスマホ対応はもちろん、フォームのデザインや入力のユーザビリティ、などさまざまな方法がありますが、最も簡単な方法は、入力項目を減らすことです。
たとえば、「ふりがな」や「FAX番号」「勤務先」など。
寄付者とのコミュニケーションで使っていないにもかかわらず、「とりあえず聞いている」項目はありませんか?
「メールアドレス(確認用)」も間違いを減らすためには有効ですが、面倒に感じられたりエラーが発生しやすいポイントです。
また同じように、寄付の完了に至るまでのページ遷移が多いのも、離脱しやすい原因です。
パッケージで提供されている寄付用のフォームを活用すると、「会員登録をしないと寄付ができない」「カートに入れてから個人情報を入力する」などがデフォルトの仕様になっている場合もあります。
最低限のページ遷移で、申込を完了できるようにシステムを設計できるとよいでしょう。
EFO(入力フォーム最適化)の法則や、先行事例に学ぶ
フォームについては、WEBマーケティングの世界では「EFO」(入力フォーム最適化)という1つの分野が確立されているくらい奥の深い分野です。
本記事でご紹介した改善施策は、ほんの一例に過ぎません。
ビジネスの世界でも共通する一般的な法則については、たとえば以下の記事にとても分かりやすくまとまっていますので、ぜひ参考にされてみてください。
「【保存版】問合せを劇的に増やすエントリーフォーム最適化(EFO)15の方法」
「スマホサイトのEFO(フォーム最適化)で爆発的成果を出すための5原則」
NPO/NGOでは、たとえばユニセフさんや国境なき医師団さんのフォームは洗練されて作れ込まれているように感じます。
自団体にそのまま取り入れられるかは分かりませんが、ヒントが見つかるかもしれません。
あなたの団体を応援しようと思ってくださっている方が、いつでもどこでも、ネットに接続さえできれば、ストレスなく簡単に寄付できる。
そんな状態を実現するため、あなたの団体のフォームをユーザーの視点でいま一度チェックするところから、ぜひ始めてみてください。