【ポイント1:財務諸表】寄付等の売上構成比率が高く、売上増加傾向であると待遇改善をしやすい
NPOは会計等の情報公開が義務付けられているため財務諸表等の閲覧が可能で、そこから年収増加の可能性等を判断する事ができます。
以下、財務諸表をどうやってみればよいかを解説します。
年収増加に繋がりやすいNPOの売上種類と特徴とは?
NPOの収入源は自主事業収入、寄付収入、助成金収入等に大別されます。
自主事業や寄付収入割合が多いNPOが売上増加した場合は、使途が自由なので、職員への年収増加もしやすい傾向があります。
一方で、助成金収入等は単年度で終了し、継続が見込めない事が多く、職員の年収増加等には向かない性質の財源になります。
気になるNPOの求人を見つけた場合、サイトを見て必ず財源比率をチェックしてみましょう。
3事業年度を比較すれば今後の業績推移が予測できる
単年度ではなく直近3事業年度の財務諸表を確認すれば、過去の業績推移から今後の予測が可能です。
右肩上がりが良いとは一概には言えませんが、業績拡大傾向のNPO程、職員の年収増加や求められるスキルの高度化が期待できる傾向がみられます。
なお、増加率が高い場合は、急激に環境が変わり、求められるスキルの習得スピードが早かったり職員の入れ替わりが激しくなる事が予測されるでしょう。
一方で、増加率が低い場合は、前年度を踏襲しつつ、スキルアップ等を求められたり、職員の構成もさほど変わらない事が予測されます。
もちろん予測が当たるとは限りませんが、業績推移と増減状況で入職後の状況を予測し、ご自身に適する職場環境になり得るかは、一考の余地があるでしょう。
【ポイント2:事業数】事業数が少ないNPO程、生産的に事業を軌道に乗せる要因を満たしている
皆さんは、ランチェスター戦略をご存知でしょうか?
ランチェスター戦略では、中小企業やNPOが生き残るために、経営資源を絞って展開する必要性が説かれています。
NPOが絞るべき経営資源の最たるものとして、提供する事業が挙げられ、事業を絞る事で以下のようなメリットが得られます。
- 売上を上げるための労力が押さえられる
- 何をやっているNPOか外部に伝わりやすくなる
- 専門性を高めて他NPOとの差別化を図ることができる
実際に事業を1つに絞って展開しているNPOには以下のような団体があります。
- かものはしプロジェクト=児童買春を防ぐ仕組みを展開
- チャンス・フォー・チルドレン=学校外教育バウチャー(スタディークーポン)を展開
上記団体は、提供する対象(人や地域)が変わってますが、展開している事業は1つであり、事業規模等は年々増加しています。
NPOは無形サービス提供が大半で、利用者のニーズに寄り添い、複数事業を展開しがちですが、事業を増やす=比例して売上等が拡大するとは限らず、職員の負担が増えて生産性が下がるリスクもあります。
寄付収入を財源に展開するNPOの場合を考えて見て下さい。
事業が多いと各事業ごとに寄付の使途等を説明し理解されないと寄付に繋がりません。
さらに、事業ごとに寄付が異なると、管理する手間も大きくなります。
その結果、効率的に収入が増やせない=職員の給料も上がりにくいという構造が成り立つといえるでしょう。
ですので、求人を出しているNPOの事業の数は、ぜひともチェックしていただきたいポイントになります。
【ポイント3:サイト設計】誰を集めるためのサイトか分かるNPOはスキルアップが見込める
何を目的でサイトが作られているかが分かるサイトは、売上を伸ばしやすい傾向があります。
NPOは対個人向けに事業を展開している(自主事業を行ったり寄付を集めている)NPOが大半で、以下がボトルネックで売上が伸びない傾向が見られます。
- 寄付者が集まらない
- ボランティアや職員が増えない
上記属性の人たちを効率的に募るためサイトが果たす役割は、非常に重要です。
ですので、各ページの文末等に寄付や採用につながるページに遷移するボタンが設置される等が、重要と考える事ができます。
例えば、設立4年で2,000万円以上の寄付を集めているNPO法人ラーニングフォーオールのサイトを見てみましょう。
各ページの文末には寄付やボランティアにつながるボタンが設置されているのが分かります。
https://learningforall.or.jp/
サイトの目的が分かりやすいNPOであれば、効率的に事業を拡大するための姿勢があると判断できる一方で、
WEBマーケティング等に注力する体制が備わっていると判断できるので、自身のスキル向上も期待できる側面があります。
求人を出しているNPOがどんな目的でサイト運営しているかは、必ずチェックしてみましょう。
【ポイント4:CRM(DRM)導入状況】CRM(DRM)の導入有無を知って生産性を見極める
求人を出しているNPOが効率的な運営体制であるか否かを見分ける基準として、セールスフォース等のCRM(DRM)を活用しているかが挙げられます。
実は、セールスフォース導入しているかは、NPOのサイトに設置されているフォーム(寄付や問合せ等)を見れば判断できるのをご存知でしょうか?
以下、3つの方法でセールスフォースを導入しているNPOかどうかを判断する方法をお伝えします。
法人名+セールスフォースで検索してみる
法人名+セールスフォースで検索してみれば、セールスフォース導入を示唆するブログ記事等がヒットする場合があります。
例えば、10代に特化し月間PV数100万PVを超えるサイトを運営している認定NPO法人3keys(スリーキーズ)という団体があります。
「スリーキーズ セールスフォース」で検索するとセールスフォースに関連する以下の記事が出てきますので、セールスフォースの導入事実が簡単に確認できます。
https://3keys.jp/news/160319/
GOEN DRMのフォームかを確認する
NPO向けにセールスフォースの寄付募集に特化したアプリを開発しているGOEN DRMというサービスがあります。
GOEN DRMを挿入している場合、各問合せフォームのドメインが、
secure.force.com
となっている場合が大半で、上記に該当する=セールスフォースを導入していると判断が可能です。
ソースコードみて、salesforceと検索してみる。
フォームのソースコードを見れば、セールスフォースを導入しているかを見分ける事ができる場合があります。
例えば、日本を代表する認定NPO法人フローレンスの場合、以下の手順で、セールスフォース導入事実を確認できます。
- 問合せフォームにアクセスする
https://contact.florence.or.jp/corp/form01.html
- マウスを右クリックしてページのソースを表示を選択する
- コントロール+Fなどで検索ウィンドウを表示し、salesforceと入力してみる
- webto.salesforce.com等、表示される場合はセールスフォースを導入している
上記が該当する場合、問合せフォームの情報が直接セールスフォースで管理される体制で運営されていることが分かるので、生産性を意識した体制であることがみてとれます。
以上ご紹介の3手法で、全NPOのセールスフォース導入可否を判断はできませんが、求人応募前の情報収集の一つにお役立て下さい。
まとめ
以上、気になるNPOの求人を見かけたときに、どんな基準でサイトをチェックすれば良いかをご紹介しました。
この記事が皆さんが適切な求人を見つけるきっかけになれば嬉しいです。