プロボノの報酬はもらえる?金銭的報酬は得られない代わりにキャリアの幅が広がる等の対価も
プロボノすれば金銭的な報酬が得られるのか?気になると思いますので、実情を調べてみました。
プロボノに金銭的な報酬は発生しないが経費は支給される
プロボノとは、「公共善のために」を意味するラテン語「Pro Bono Publico」を語源とする言葉で、【社会的・公共的な目的のために、職業上のスキルや専門知識を活かしたボランティア活動】を意味します。
プロボノを行う場合、金銭的な報酬はありません。
現在、最大規模のプロボノ紹介団体であるサービスグラント(2020年3月現在で約4,000人のプロボノ実績を誇る)の参加同意事項には、「プロボノワーカーに対する金銭的な報酬は発生いたしません」と明記されています。
ただし、交通費や会議費等の経費は認められるようです(上記参加団体事項に記載あり)。
とはいえ、金銭的な報酬が得られずとも、うまく活用すれば、プロボノは様々な対価が得られます。
以下、どんな対価が得られるかをご紹介します。
本業を辞めずにキャリアの幅を広げられる
プロボノをうまく活用すれば、自分がやりたいキャリアを得る手段になり得ます。私が知っている人で、こんな人達がいます。
- 本業で紙媒体営業経験しかなかったが、プロボノでメディア立上げに関与でき、転職が有利に進んだ
- プロボノでボランティアマネジメントを任され、本業でずっとやりたかった人事への異動が実現できた
上記のようにキャリアを切り開くのに、本業に籍を置いたままキャリアの可能性を広げられるのが、プロボノの大きな対価の一つになります。
自分の力量を試しスキルを客観視する機会が得られる
「本業で培った専門能力を使って、何ができる?」が純粋に問われ、自分試しができる。
それが、プロボノの魅力であり、メリットの一つになり得ます。
本業で得たスキルが社外で通用するか否かは、実際に試してみないと分からないですよね。
本業だと積み上げた人間関係を前提に同僚等から多大なサポートが得られ、自分の仕事が評価されるような状況も有りますので、自分のスキルを客観視しにくい要素があります。
プロボノはそういった要素を排除し、自分の市場価値を試す好機になり得るので、リストラが加速傾向にある昨今、リスクに備える手段として有効ではないでしょうか。
プロボノ体験談|実績がなくても実践することで欲しいキャリアを獲得
「自分の知識を実践して実績を残すよい機会になる」もプロボノが得られる対価の1つに挙げられますが、左記が分かる私の体験談をご紹介します。
プロボノを始めた時の私の状況
私がプロボノを始めたのは、以下の状況でした。
- 企業で勤務していた
- NPOが新規事業を立上げるための資金が必要だった
- 上記を集めるためファンドレイザーとしてプロボノを行った
- ファンドレイジングに関しては自分で勉強して知識だけはあった(セミナー参加したり書籍読んだりして2年くらい勉強した程度)
- ファンドレイジングの実績は一切なかった
そういった状況でプロボノを行う事で実績を残す事ができ、以下のメリットを享受しています。
NPOに正社員として入職できた
私がプロボノで得た最大のメリットは、NPOに正社員で働く事ができた事です。
半年間ボランティア勤めをして、正社員での登用は難しいと言われた事があったにも関わらず、実績を作ることで正社員になる機会を得ています。
詳細の経緯は、「ファンドレイザーになるには?企業で営業職→NPO職員→独立の経緯」に記載していますので、ご参考下さい。
ファンドレイジングの楽しさを初めて知る機会を得て知るとヤルの違いを実感した
応援されるって楽しい。
今まで味わった事がなかった新鮮な感覚を得て、ファンドレイジングの楽しさを人生で初めて実感する機会になったのが、私にとっての大きな対価でした。
(ファンドレイジングとは、寄付を中心としたNPOへの資金調達を行う行為を示す言葉で、日本では馴染みが薄いのが現状です)
ファンドレイジングを行う中で、私は、身近な人に限らずあまり仲良くはなかったが、フェイスブックで繋がっている高校のクラスメイトにも寄付の依頼を行いました。
その結果、クラスメイトは私の依頼に応じてくれ、応援のメッセージを添えて、快く1万円を寄付してくれました。
「こちらから一方的なお願いをしているのに、こんなふうに応援してくれるって事があるんだ!」と感動した事を覚えています。
「物事を『知っている』のと『やったことがある』のは、大違いだ。」
そんな事にも気づき、実践する事で知識が経験になった事が、一見分かりにくいですが、確かな対価でした。
他副業とプロボノの比較|やりがい以外の対価も
本業以外のキャリアとして、プロボノではなく副業を行う事も可能ですが、プロボノ特有の対価はどんなものがあるでしょうか?以下、詳細をみてみましょう。
ブルーオーシャンでのキャリア形成の機会になり得る
プロボノを通じてNPOでのキャリア形成=ブルーオーシャンでのキャリア形成に繋がり得るというメリットがあります。
キャリアを選択する上で成長市場に身を置く事は、最も重要な要因になり得ますが、プロボノが属する寄付市場は、今後成長が見込まれる市場と考える事ができます。
- 短期視点では儲からない(金銭的報酬が得られない)
- 中長期視点では儲けることができる(拡大傾向にある市場で独自のキャリア・強みが形成できるため、適切な報酬が得られる)
人口や経済が縮小傾向の日本で拡大が見込める市場が少ない中では、注目すべき特徴がプロボノにはあります。
私自身が独立1年目でも食っていけるようになった状況で、上記メリットを実感しています。
他社貢献を通して自らの価値を感じることができる
プロボノには、「自分の価値を感じる」メリットがあります。
ベストセラーの書籍「嫌われる勇気」には、以下のように記載されています(以下引用)。
- 他者貢献は、仕事でしょう。社会に出て働くこと。あるいは家事をこなすこと。労働とは、金銭を稼ぐ手段ではありません。われわれは労働によって他社貢献をなし、共同体にコミットし、「誰かの役に立っている」ことを実感して、ひいては自らの存在価値を受け入れているのです
- 一生かかっても使い切れない富豪がなぜ働くのか?それは、他社貢献のためであり、ひいては「ここにいてもいいんだ」という所属感を確認するため様々な活動を行っているためなのです
他副業を通じて他者貢献をする事は、もちろん可能ですが、プロボノの方がより「誰かの役に立っている」実感が得られやすく、自分の価値を感じやすい特徴があります。
まとめ
プロボノは金銭的な報酬を得られませんが、中長期的な観点での対価が得られ易く、リスクを抑えてキャリアを拡大するのに、適した活動です。
このブログを機に、読者の皆さんもプロボノにチャレンジしてもらえたら嬉しいです。