NPO法人とは?意味や略、設立メリットまで、5分で簡単チェック

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「NPOって何?どんな団体なの?」「設立するために気を付けておかないといけないことは?」こんな疑問をお持ちの方に、NPOという言葉の意味や定義、設立する前に押さえたいポイントを解説します。

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目次

NPOは「Nonprofit Organization」の略で、意味は”非営利団体”

NPOを直訳すると「非営利組織」ですが、「NPO = NPO法人」という意味で使われることが多いです。

特定非営利活動促進法がNPO法と略称で呼ばれているため、NPOはNPO法人格を取得した団体(特定非営利活動法人、通称NPO法人)のことと思われることが多いようです。
(出典:日本NPOセンターHP

しかし広い意味ではNPO法人だけでなく、

  • 公益財団法人/公益社団法人
  • 一般財団法人/一般社団法人
  • 社会福祉法人
  • 任意団体

なども「NPO」に含まれます。
話し手の意図によって、意味が異なる場合があるので注意が必要です。

NPO法人の立ち上げ方は?7つの設立要件をチェック

NPO法人を設立するには、NPO法によって定められた7つの要件を満たす必要があります。
とはいえ、真っ当に活動を行う団体としてNPO法人を設立するぶんには、ほとんど障害になりません。

  1. 営利を目的としないこと
  2. 宗教活動や政治活動を主目的としないこと
  3. 特定の公職の候補者若しくは公職にある者又は政党を推薦、支持、反対することを目的としないこと
  4. 特定の個人又は法人その他の団体の利益を目的として、事業を行わないこと
  5. 特定の政党のために利用しないこと
  6. 特定非営利活動に係る事業に支障が生じるほど「その他事業」を行わないこと。その他事業の会計については、特定非営利活動に係る事業の会計から区分して経理することが必要であり、その利益は、特定非営利活動に係る事業に充てること
  7. 暴力団、暴力団又はその構成員若しくはその構成員でなくなった日から5年を経過しない者の統制下にある団体でないこと

株式会社などの一般的な「会社」の設立には資本金が必要ですが、NPO法人は必ずしも資本金を用意する必要はありません。
資本金0円(法人に財産がない状態)で設立することも可能です。

設立にあたっては、所轄庁(都道府県庁など)へ書類を提出してから、おおよそ4ヶ月ほどで登記が完了します。

NPO法人設立の流れ

  1. 所轄庁へ必要書類を提出
  2. 1ヶ月間、所轄庁が「縦覧」を行い、一般市民にもアクセス可能な情報として公開する
  3. 縦覧期間が終わると、所轄庁による審査がスタート
  4. 審査終了後、法務局へ登記を申請、設立完了

こうしてNPO法人は晴れて社会的に認められることとなります。
次の章では、NPO法人を設立する前に知っておきたい、設立後のポイントを解説します。

NPO法人を設立するメリットとデメリットを比較すると?

NPO法人の設立を検討されている方であれば、すでに何らかの市民活動をスタートしていて、その活動をより持続的なものとするために法人格の取得を検討されている方がほとんどだと思います。
「任意団体」と「NPO法人」どちらが良いのか、メリット・デメリットを比較してみます。

メリット

任意団体よりも社会的な信用が上がる

NPO法人の設立には、書類の手続きや審査などのハードルを乗り越える必要があります。
法人格を有していれば、信頼に足る活動を行っている団体と、広く認知してもらいやすくなります。

立ち上げ当初は活動資金が十分でないことがほとんどだと思いますが、行政からの委託や助成金の申請も法人格が条件となることが多く、法人格の取得は活動を強く後押ししてくれる可能性があります。

法人名義で契約や手続きを行えるようになる

NPO法人であれば、代表やスタッフが替わっても活動を継続しやすくなります。
さまざまな契約も法人の名義で行うことができ、万が一の事故で負債を負ったり、賠償の責任が生じた場合も有限責任です。

一方、任意団体の場合、契約は代表個人に紐づきます。
任意団体で先のような事故が発生し、その団体だけで弁済しきれない場合、代表個人の財産を持ち出してでも弁済しなければなりません。

このように、NPO法人になることで活動が円滑に進むケースもあります。
次はその逆、NPO法人になったことで発生するデメリットも押さえておきましょう。

デメリット

活動の実態や会計報告に透明性が求められる

NPO法人は事業報告書や活動計算書を、所轄庁へ年度ごとに提出する必要があります。
また財産目録や役員名簿など、情報公開も必須となります。
任意団体の時には必要なかった作業が増え、透明性の高い経営が求められます。

またNPO法人でも利益が発生すれば、通常の会社と同様に、法人税がかかります。
税務申告のために税理士さんにお願いしなくてはならないこともあるでしょう。

運営コストの観点では、NPO法人よりも、たとえば株式会社の方がずっと簡便に済みます。
こうしたコストと、NPO法人にすることで実現するリターンを、慎重に天秤にかけて検討しましょう。

継続的に人員を確保する必要がある

NPO法人の設立には、社員10名以上、役員3名以上、監事1名以上が必要です。
この場合の社員はスタッフのことではなく、よく言われる「正会員」のことです。
活動に賛同し、運営の議決権を有することとなります。

規定の人数を集められないと、NPO法人を設立することはできません。
また、正会員は本人の意思で入会・退会を自由に決められますので、継続して活動に関わってくれる人を見つけなければなりません。

正会員以外にも、事務手続きを担ってくれる従業員を雇ったり、快く動いてくださるようなボランティアを集めたりと、人を巻き込めるかも重要なポイントです。

ここまで、NPOの言葉の意味、NPO法人設立の流れ、設立後のメリット・デメリットについて解説しました。NPOについて理解を深めていただけていたら幸いです。

この記事を書いた人
鈴木 大悟
準認定ファンドレイザー

この世界のお金の流れを良くしたいという想いがあり、証券会社からNPOに転職しました。 現在はフリーランスのファンドレイザーとして活動しています。 NPOで働く楽しさを知っていただくことで、一人でも多くの方にキャリアの多様な選択肢を届けたい、そんな願いを込めて記事を書いています。

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