セールスフォース、キントーンは同列製品でコングラントは異なる
CRM(DRM)の業務適用範囲が非常に広いため分かりにくいですが、各ツールは3者同列の製品ではない事を、まず、ご理解下さい。
セールスフォースとキントーンは同列ですが、コングラントは少し異なるツールになり、以下が違いになります。
・全ツール共通の標準機能
寄付者の詳細情報が記載された個別ページ、全寄付者の一覧ページが閲覧できる(※セールスフォース・キントーン共に、どんな項目で管理するか等のカスタマイズが必要だが、コングラントは不要)
・コングラントのみ標準で使える機能
上記に加えて、カード決済機能とフォームが活用できる
寄付募集ページが作成できるツールごとに料金体系や、メリット、デメリット等が異なりますので、概要を表にまとめてみました。
以下より、詳細について解説していきます。
導入意図に応じて良いツールが理解できる|各CRM(DRM)の詳細解説
各ツールは、導入意図により、どの製品がオススメかが異なります。
・NPOが寄付者管理に求める主機能を網羅(認定NPO法人に求められた運用要件にも対応)したCRM(DRM)を構築したい。→セールスフォース+GOEN DRM
・寄付者管理だけでなく、社内の業務改善なども視野に入れつつ、シンプルな運用で職員が自分でカスタマイズできる体制でCRMを構築したい→キントーン
・ファンドレイジングに必要なカード決済機能、寄付募集ページ作成機能、寄付者管理機能を低コスト&最速で導入したい→コングラント
それぞれ、詳細を見ていきましょう。
セールスフォースは多機能だが運用・学習コストがかかる
セールスフォースは、全世界シェアナンバーワンのツールで、日本のNPO業界でも導入団体は多数ありますが、導入設計や運用負担が大きい点に留意が必要なCRM(DRM)です。
セールスフォースを導入する場合は、寄付者等を管理する1単位として、オブジェクトと呼ばれているものが存在します。
標準オブジェクトは、「リード」「取引先」「取引先責任者」と呼ばれ、寄付見込者や寄付者を各オブジェクトで管理するのが、一般的です。
ただ、セールスフォースは、対個人ではなく対法人案件を管理する前提で設計されているので、個人中心の寄付者を管理する場合、運用が複雑になりがちです。
例えば、以下のように2つのルールで運用される事になります
- 名刺交換者やイベント参加者を「リード」で寄付見込者として管理する場合、左記の人が寄付してくれたらオブジェクトの変更が必要で、その際、法人に関する情報を「取引先」で、個人に関する情報を「取引先責任者」で管理する
- 上記ケースで法人情報がない場合は、「取引先」と「取引先責任者」に同一情報を入力して管理する。
上記を読まれただけでは、運用のイメージがつきにくいと思いますが、こういったルールをNPO職員が理解する必要がある等、ハードルが高いのがセールスフォースの特徴です。
さらに、導入時には、どんな項目で管理するのかの設計が必要になりますが、カスタマイズを行うための操作も複雑で、分かりにくいです。
一方で、各オブジェクトで適切に寄付者を管理すれば、属性ごとに一斉メール配信を簡単に行えるので、例えば、クラウドファンディング開始時に、プロジェクトページにメールで誘導して支援に繋げる等、ファンドレイジングに必要な機能が活用できるのが、セールスフォースのメリットです。
GOEN DRMはセールスフォースの弱点を補うNPO業界で唯一のサービス
設計、運用が難しいデメリットを補うものとして、エニシフルコンサルティングさんが提供するGOEN DRMというアプリがあります。
GOEN DRMを導入すれば、最初から寄付者管理やファンドレイジングに必要な機能がパッケージで導入されていて、予め寄付者管理に必要だと思われる項目も網羅されて使えるようになるため、運用ハードルが一気に下がります。
更に、GOEN DRMに加えてカード決済代行会社との契約も追加すれば、驚きの領収書発行機能が使えるようになります。
認定NPO法人等の場合、領収書は以下の情報が記載されている事が必須であるのをご存知でしょうか?
- 寄付金額の総額
- 寄付者の氏名、住所
- 総額の根拠となる寄付入金日や寄付金額の明細
GOEN DRM+ロボットペイメント等の決済サービスを同時導入すれば、寄付者がフォームに入力後、決済情報等が自動的にセールスフォースで管理できるようになり、認定NPO法人に求められた要件を満たす領収書発行も簡単に発行できるようになります。
上記の機能だけでも、十分な費用対効果が見込めますので、セールスフォースとGOEN DRMの組合せは、寄付者管理において、私が最もおすすめする組合せです。
キントーンはプログラミング不要で簡単に設計・運用ができる
キントーンの最大のメリットは、以下を踏まえて、運用のハードルが最も低い事です。
- ドラック&ドロップで簡単に設計等が可能
- 全国各地で無料セミナーが開催されているので、導入事例や活用方法が理解できる
- PO向け無料パックが提供されているので、必要機能を充足しやすい
CRM(NPO)に関しての最大障壁は、運用のハードルが高い(使いこなすまでの初期設定が難しい、設計しても使い方が分からない)事ですが、それをクリアするのに、最も適したCRM(DRM)は、キントーンです。
また、例えば、寄付者がフォームに入力すれば、自動的にキントーンに反映されるようにして管理したい等、あらゆる機能を追加導入できる(概ね月額1万円程度)ので、必要な機能だけを選択導入ができます。
ただ、セールスフォース+GOEN DRMで使える寄付者管理に求められる機能をキントーンで導入した場合、キントーンの方が高くなる可能性があるため、寄付者管理だけを目的にCRM(DRM)を導入するなら、前者がおすすめです。
しかし、寄付者ではなく、利用者(受益者)を管理したい、社内での決裁業務等の負荷を減らしたい、ボランティア等が日報をネット上で記入できるようにしたい等、寄付者管理以外業務の運用負荷を抑えたい場合、キントーンはイチオシです!
コングラントはファンドレイジングに必要機能が最速で導入可能
コングラントは決済フォームもパッケージで導入でき、マニュアルさえ読めば一通りの機能が使えるようになるので、寄付者管理に必要な機能を最短、低コストで導入できるツールです。
予算が限られるNPOがファンドレイジングや寄付者管理を行うのには、最も相性が良い仕組みになります。
しかし、規模が拡大し寄付者管理業務の負担が増える可能性がある場合、長期視点を勘案すると、以下の2点でおすすめできません。
- 寄付募集&決済ページのドメインがcongrant.comであるため、ドメインが育たない
- 入力フォームに寄付者が不規則に入力される事が制御できないため、件数が増えると運用が大変
例えば、寄付募集ページを公開した場合、自社ドメインで作られたページなら、アクセス数増加に伴い、自然検索での順位が上がり、自団体の事を知らなかった人が様々なキーワードで検索&流入して、ページを見つけてもらえる可能性があります。
しかし、コングラントで作成のページはコングラントのドメインになるため、長期運用しても特定のキーワードで検索順位が上位表示されにくく、新規の方の流入はほぼ期待できません。
一方、寄付募集ページに設定されている入力フォームの入力内容が不規則に入力されるため、寄付の件数が逓増すれば、管理の手間も大きくなります。
例えば、寄付者が住所を入力する箇所が複数あるので、
- 会報誌等と領収書の送付先が分けて入力される
- 2項目に同住所が入力される
- 1項目のみに1住所が入力される
というケースが混在し、どの住所項目をどう活用すればよいかを考える必要があるのが、コングラントの特徴です。
また、継続寄付者も応募&管理できますが、CRM(DRM)を変更する場合、別CRM(DRM)で用意されたフォームに改めて入力してもらう必要があるので、継続寄付者が切替てくれずに減少する事も想定されます。
立ち上げて間もないNPOで、単発寄付に限ってコングラントを導入し、事業が大きくなってきたら、別CRM(DRM)に切り替えるというのが、コングラントのおすすめ活用方法になります。
まとめ
一度導入したら変更のハードルが高いのが、CRM(DRM)ですので、料金だけでなく、複数観点で慎重に、どれが良いかを検討されるとよいでしょう。
この記事が、皆様がCRM(DRM)を導入する際に、お役に立てる事を願っています。